「親知らずが痛いよ〜」・・・歯科医に親知らずのことでたずねてくる患者さんの多くは、萌えてくる時に痛みがでたり、炎症を起こし腫れたりした時にいらっしゃいます。まっすぐにはえることができず、斜めになったり横を向いたりという状態が多く見うけられます。そんな時は親知らずを抜きましょう。


■ トラブルを起こす前に・・・・・予防的親知らずの抜歯
 歯は生えてくる何年も前からあごの中で育ちそして萌出して来るのです。親知らずも10歳頃には歯の赤ちゃんがレントゲンで確認されます。だんだん大きくなり根っこの2/3程できた頃から萌出し始めます。

■ どんなとき抜くの?
 中学生になる頃には歯冠と言って歯の頭の部分が完成し高校生になる頃には根っこの1/3くらいができています。下顎の中には神経と血管が通っており親知らずの根っこはこの神経に絡んできます。親知らずがレントゲン写真で12歳臼歯の後ろに並びそうにない時、親知らずの傾きが45度より寝ている時は、前の歯に引っかかってうまく生えてきません。
 まだ生えて来ていない歯の芽のうちに取ってしまう方法が萌出前抜歯です。

■ 萌出前抜歯の時期
小学生:
本当に小さいので傷も小さく短時間で終わりますが、年齢が小さく抜歯の意味が理解できず、抜歯に耐えられるかが鍵です。まだ少し彼・彼女にとってかわいそうな年齢かもしれません。

中学生:
抜歯の必要性が理解でき、まだ歯冠だけですし歯もまだそれほど硬くなっていないので傷が小さくて済みます。

高校生:
根っこが出来始めていますが根っこが神経に絡んでいないので歯を抜くときの余計な心配事がありません。

大学生:
体力的には充分ですが、一人暮らしをしている場合が多く、抜歯よりは抜歯後の痛みや出血に対する精神面、そして食事の面が心配です。

■ 歯の根が育ってしまった後は
20歳台:
精神面での不安はまだ残りますが、体力、気力は充分で親知らずも若く周囲の骨も弾力性があり抜けやすく、傷の治りも早いです。
30歳〜40歳代:
歯も炎症を繰り返し骨もバリアを形成し硬くなっていきます 。早く抜いた方が傷の治りを考えると良いと思います。
50歳〜60歳代:
それに加え歯の硬化が進みます。そして持病が出てきて抜歯自体が困難になる場合が出てきます。
70歳以降:
なるべく抜かないで様子を見ていきましょう。

■ 抜くとしたらどうやって抜くの?
 局所麻酔をして、あごに埋まっている時は歯肉をよけてから歯を削って小さくして取ります。横を向いて引っかかっている時も同じです。

■ 痛み止めは?  
 抜いた後の痛みや腫れをおさえるために痛み止めや腫れ止めのお薬をだします。点滴などで水分を充分に補ってあげると傷のむくみや痛みが少なくてすみます。

■ 少しでも気を紛らわすために!
 好きな音楽や映画を聴いたり見たりしながら、抜歯の時間をすごしましょう。嫌なことをしている時、嫌な事に集中しているより、少しでも気がまぎれると思います。

■ 抜くのが恐い!
 笑気ガスといって痛みを和らげる方法があります。鼻から呼吸するときにガスを吸うだけで痛みに対して鈍感になります。またどうしても恐怖心が強い場合は精神安定剤や全身麻酔を使った方法があります。ご相談ください。